6.付録として・・・サッシと車

 

いきなり何の話・・・と思われる方もおられると思います。

 

実は似ている所が数多くあります。

MADOXとしての方向性を決めた一つでもあります。

 

私はドイツのVW(フォルクスワーゲン)の車が好きです。

別にVWからの廻し者でも無く、お金を貰っている訳でもありません・・・

普通にお金を支払って購入しています。

 

フォルクスワーゲンとは直訳すると「 国民車 」という意味だそうです。

しかし、私は「 全ての人に勧められる車 」だと思っています。

 

実は木製サッシのギア、金具関係の多くはドイツをはじめとしたヨーロッパ製です。

ドレーキップという窓があります・・・ドイツを代表する窓ですね。

ドイツを旅行された方、お住まいされていた方はご存知だと思います・・・

 

1つの窓で2通りの開け方が出来る窓なんです。

こんな凄い窓は他にはありませんね。

これを日本語に直すと「 内倒し内開き窓 」と言う名前になります。

通常のポジションは内倒しの状態ですね・・・窓本来の機能である換気が主目的です。

内開きの状態では窓の外部ガラス面の清掃、塗装のメンテ等が主目的となります。

つまり、2F、3Fでも足場無しに室内側からメンテナンスが出来るという優れ物の窓なんです。

 

また、木製サッシの中でも一番気密性が高い窓としても有名です。

気密を取る時は、大げさですが潜水艦のハッチのような感じです。

面全体で気密を取る構造になっています。 

これのギア、金具の原型は今から130年ほど前に既にドイツではあったそうです。

130年前といいますと日本は明治の時代ですよね・・・

当時の日本の家屋は長屋が多くてガラガラと引戸(建具ですが)を開けていた時に

ドイツはこんなややこしいギアで窓を開閉していたかと思うと凄いと思いますね。

 

余談ですが、日本のモジュールである「 一間 」という言葉はどこから来ているか

ご存知ですか?

 

文字の通り「  」です・・・で何の間かと言えば、柱と柱です。

 

その柱と柱のがありこれを間戸と書いて「 まど 」の始まりだという説もあります。

 

で・・・本題の車ですがVW車のドアのヒンジを見られた事はありますか?

ゴツイですね・・・最近の車種はコストカットの関係もあってか小ぶりにはなりましたが、それでもとても頑丈です。

 

違いは構造にあります・・・国産車のほとんどのドアのヒンジは

「 プレス製法 」で作られています。

 

鉄板を金型に嵌め込み圧力を掛けて作ります・・・鍋、釜と大して変わりません

 

皆さんも車をお持ちでしたら是非一度覗いてみてください。

車のドアを開けた時に上下に2個ドアを支えている金物があります。

普段、あまり気にもかけない所ですが・・・ 

 

MADOXは木製サッシの他にも木製玄関ドアも手掛けていますが、

一般の住宅の木製玄関片開きドアの場合で重量は最低でも約60kgはあります。

この玄関ドアを3枚もしくは4枚ヒンジ(兆番)で障子(ドア)を支えています。

しかし、車のドアは開けた時に上下2個のヒンジでドアを支えなければなりません。

重量も玄関ドアの重量と大差ありませんし、何より静止状態ではなく車は動いています。

それもドイツではアウトバーンという速度無制限の道路があります。

速度が200km/hでも耐えられるヒンジとラッチ(受部)が必要な訳です。

 

ですので、VWをはじめヨーロッパ車のドアのヒンジの多くは

「 ダイキャスト製法 」で 作られています。

 

要は一体物ですね・・・強度が全く違います。

オーバークオリティと思えるほどのヒンジが 付いています。

 

何故でしょうか・・・ヤワなヒンジだと使えないからです。

例えば、大きな衝撃が車体に加わった時、閉じているはずのドアが開いてしまって

シートベルトをしていない運転者が車外に放り出される可能性もあります。

 

また、普通はドアを閉めて走行しますよね・・車の剛性で弱いところは開口部です。

つまり、走行しているときの動的剛性はドアがボディに対して強固に固定されているかにあります。

ドアもボディー剛性を取る重要なパーツなのです・・そのボディーと固定しているヒンジが

大切な事は国産メーカも分かっていますが、何故かダイキャストのヒンジを採用しませんね。

理由はとにかくコストを下げろの大合唱・・安普請な車で儲けを出すことが最優先です。

 

ここにこだわりが見えて来ます・・・かけるべき所には手を抜かずにコストを掛ける

普段は見えない所だけれども決して手を抜かない。

 

しかし、VWは実用車です・・・当然コストの問題もあります・・・

しかし、ガンガン走っても車体、ボディーそのものはビクトモしない・・・

 

車両価格も国産のH社、T車等の普通車、ミニバン等と大差ありません。

また、ベンツ、アウディ、BMWのように高価でもありません。

高くて良いのは当たり前です・・・これで悪かったら詐欺ですからね。

 

長期間、距離を重ねても車体にはヤレ(劣化)の進み方が少ない。

長く乗れる事は結局安上がりと言えます。

いいものを長く使う・・・

これがVW車に決めた大きな理由ですね。

ただ、電装関係だけは日本車(日本製)の方が優秀だと思います・・

 

私が初めてVW車を購入したのが、今から13年前の2004年式のPolo(9NBBY)です。

この車との出会いが無ければ恐らくVW車に乗る事は無かったと思っています。

今でもこの車を所有していますが、現在、主に乗っているのは購入当時は中学生だった娘です。

排気量1400ccで馬力はたったの75PS、トルクは約120Nmしかありません。

普通のスペックで特に見るべきものも全くありません。

しかし、これが高速ではドイツのアウトバーンの推奨速度+20km/hの速度で巡航出来る事に大変驚きました。

それも不安感はありませんでした・・普通に走れます。

瞬間の速度ではなくて、たんたんと一定のハイスピードで巡航走行出来るにはシャシー(ホワイトボディー)の剛性が高くないと走れません。

 

日本の法定速度は高速道路では100km/hですが、ドイツは速度無制限のアウトバーンという土壌の違いがあります。

日本車の場合多くは100km/hをMAXの速度としてボディー、足回り、ブレーキ等を設計しています。

日本では100km/h以上で走行する道路は無い・・というのが建前になっていますから。

 

実際、警察庁が新東名高速道路を120~130km/hに制限速度を変更しようとしたときに真っ先に反対したのが日本で最大手の自動車メーカーです。

何故か・・車体、ブレーキ、足回りなど安普請の設計ではアラが出るからです。

いい車を作ろうとする事よりも如何に儲けるか・・です。

 

話は少し脱線しましたが、ドイツ車はPoloでも200km/h以上で走行出来るようボディーワーク設計しています。

 

私はVW車を何台か所有しています・・・

touranという車も所有していますが、10年で走行距離はそろそろ20万kmになろうとしています。。

 

仕事でも使っていますので自然と距離は伸びてゆきますね。

凄いのは20万km近く走っても基本構造体であるボディにはほとんどヤレがない・・・と

言う事に尽きます。

 

少し難しいですが、「 ボディー剛性 」が高いという事です。

また、まっすぐに車が走ります・・・直進安定性は抜群です。

実はまっすぐ走る車はそんなに多くはありません・・・

 

この安心感は何物にも代えられませんね。

 

もちろん、消耗部品等は車検、1年点検等で定期的に交換をしています。

シートも秀逸の出来で長距離を走行しても腰の疲れ等、疲労感は最小です。

座面は固めですが・・・きっちりと座らせて背骨がすっと伸びるような感じですね。 

これが疲労感を最小にする工夫だと思います。

車として道具としては本当によく出来ていると思います。

 

木製サッシも全く同じです・・・定期的なメンテナンスは欠かせません・・・

 

これは車もサッシもそして・・・人も変わりありません。

長く使おうと思うとお手入れは絶対に必要なのです。

定期的なお手入れ・・・メンテナンスを施すことにより末永くご使用頂けます。

 

ですので、私の木製サッシを製作するコンセプトとして・・・

こだわる所にはとことんこだわって・・

見えない所でも手を抜かずにキチッと作りたい!

 

「 VW車のような木製サッシを作りたい 」と考えております。

「 全ての人に勧められる木製サッシ 」を

 

実用的でガンガン使用して頂いてもビクともしない・・・そのようなサッシを。

 

MADOXにしてよかったなと思って頂けるように・・

日々精進してゆきます。

 

 

こだわりの

made in Japanで・・・